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最近読んだ本

最近読んだ本を2冊紹介します。

明徳の乱 将軍・足利義満と山名一族の最終戦争 (星海社) 濱田浩一郎 (著)

呉座勇一著「応仁の乱」の大ヒット以後、南北朝~戦国期のマイナー戦争掘り下げ新書が雨あられの如くリリースされたが、とうとう明徳の乱まで来たかという印象。

室町幕府は発足から足利氏と一門や有力大名(いわゆる三管領四職)とのパワーバランスが微妙で、さらに南朝との対立、関東や九州にも火種ありと、常に戦争と隣り合わせのプレ戦国なワケだが、明徳の乱の一方の主人公である山名氏清の山名氏も四職に含まれ、南北朝でおなじみの新田義貞の新田氏の庶流で、応仁の乱の西軍大将(格)山名宗全は特に有名。

ただし、この戦争に関する資料は軍記物「明徳記」と、断片的な貴族の日記しかないため前者を中心に後者で補足していくスタイル。大まかな概観(足利義満の大名統制の一つ、山名氏清を討つ)しか知らなかったので、非常に興味深く読了

勘定奉行の江戸時代 (ちくま新書) 藤田覚 (著)

勘定奉行といわれると、今ではクラウド化までされた古豪の某企業会計システムが頭に浮かぶが、江戸幕府の超要職で、今で言う財務省TOP+法務省TOP+α+βぐらい権限の集中した官僚だった。
しかも、身分・序列のはっきりした世襲制の江戸時代において、勘定奉行だけはノンキャリアからの叩き上げでTOPになる事例が多々あったとのこと(老中はもちろん、寺社奉行や町奉行は事例無し)。

財政やら裁判やら年貢やらの実務に携わっているため、家柄よりも実務能力が必要とされたのがその理由だが、江戸時代を通した勧業奉行を概観した新書。江戸時代を通して、有名な勘定奉行といえば荻原重秀、鳥居忠耀、川路聖謨あたり?