見える報酬(給料)と、見えざる報酬(自分の成長)を
私が、好きな一冊に『人は、仕事によって磨かれる』(丹羽宇一郎著。伊藤忠商事元社長)があります。その中で丹羽さんは、仕事には「見える報酬(=給料)」と「見えざる報酬(=自分の成長)」があると語っています。これは私が多いに賛同するところです。
人は仕事で給料を得る(経済的な充足)ことで人生を豊かにすることができ、自分の成長(心の充足)をも得る。その両方が得られなければならないという考えです。
タフスは経営を通じて会社としての利益を追求はしますが、目的は「会社だけの利益追求」ではなく「社員みんなの幸せ」と「(仕事を介した)社会貢献」でなければならないと考えています。
生涯、技術者であってほしい
会社の規模をどうしたい、売り上げをどうしたいという希望も目標も私にはありません。私がタフスの代表(社長)として掲げているのは、1つのビジョンだけです。それは『生涯、技術者』ということ。
社員が50歳になっても、60歳になっても「いち技術者」として働けるスキルを保っていてほしいなと思っています。70歳でも現役でIT技術を駆使して働いている人を世に送りだしたい。それがビジョンです。実際、うちには63歳の現役プログラマーがいますしね。口下手で要領もあまりよくないですけど(笑)技術者としての腕は一流です。
人ぞれぞれの人生観がありますので一概には言えませんが、技術者が出世して役職をもらい(現場の技術者たちを)管理する側に進むのはよくあるケースです。そういう人が働く現場に残り続けるのは稀なことかなと、この業界に長くいて感じています。一方、役職がなんであれ技術者として地道に働き続けた人は、いつまでも働き口があり、人に慕われていることが多いとも感じています。
日本人の平均寿命も長くなり、2025年からは65歳以上の雇用確保が義務化されます。いずれ70歳まで延長される可能性も高いと言われています。そうした中、1年でも長く働きたいと考える人は増えてくると思います。多くの職業がある中、技術者というものは、それ(いつまでも働くことができる)が可能な特殊な職種の一つだと思っています。