最近読んだ本
最近読んだ本を2冊紹介します。
秀郷流の31人 源平・鎌倉創成期編 藤原秀郷子孫のすごい武士、妖しい武士、坂東武士 水野拓昌 (著)
武士の本流といえば源氏・平氏の二大巨頭が浮かぶところだが、それに勝るとも劣らない存在が秀郷流。公家の藤原氏流れで、平将門の乱で活躍した藤原秀郷の子孫を指す。奥州藤原氏や結城氏、大友氏、竜造寺氏、蒲生氏など戦国大名でもメジャーな存在が含まれているが、かなり早い段階から家系図のねつ造が行われており、上記にあげた各氏も本当に秀郷流かどうかは不明・・・どころか、秀郷自身も藤原氏(北家)の子孫であるかどうかはあやしいところ・・・
そんな秀郷流の武士を概観する書。前述の通り、家系図のねつ造は常のため、学術的に本当に子孫かどうかは定かではないものの、それぞれ秀郷流を名乗った存在ではあるため、非常に興味深く読了。
楠木正成・正行・正儀 南北朝三代の戦い (星海社) 生駒孝臣 (著)
戦前・戦後で評価が一変した人物、楠木正成とその子である正行、正儀の事績を概観した書。
戦前には正成が何をした人か(誇張ベースで)教えていたようだけど、戦後の教育を受けている我々にとってみれば、正成がギリ教科書に載っていたかどうかで、南北朝を描いた『太平記』が国民常識だった時代(江戸~昭和初期)でもないから、断片断片で悪党と呼ばれていたこと、「赤坂城の戦い」「千早城の戦い」「湊川の戦い」など正成の事績のみが記憶に残っている程度。
足利尊氏が京都を制圧して室町幕府的なものを立ち上げたあと、南朝は吉野に逃れて細々やってるのかと思いきや、度々楠木氏含む南朝勢は京都を制圧しているし、尊氏・直義の兄弟喧嘩(観応の擾乱)の際には、それぞれ南朝に降って勢いを取り戻したり、その後も室町幕府内の勢力争いの度に息を吹き返すアンデッドぶりを発揮し、特に正儀などは河内周辺のかなりの範囲を勢力下に治めていたことが知れた。