最近読んだ本
最近読んだ本を2冊紹介します。
天平の三姉妹 聖武皇女の矜持と悲劇 (中公新書) 遠山美都男 (著)
阿倍内親王、井上内親王、不破内親王という聖武天皇皇女の三姉妹の人生を概観した本書。阿倍内親王は孝謙天皇(重祚して称徳天皇)として宇佐八幡宮信託事件などで有名ですが、その異母姉妹二人も歴史の表・裏で激動の人生を送っていた。大仏建立で知られる聖武天皇の後継者にまつわるお話。
古代史好きなのでそれぞれとしてある程度知識はあるものの、三姉妹として焦点を当てた書籍を読むとより立体的に捉えることが出来た。
渡来の古代史 国のかたちをつくったのは誰か (角川選書) 上田 正昭 (著)
自分が学生の頃には「帰化人」と呼ばれていた渡来人、その言葉の定義と実態。ざっくり理解でいうと、日本列島(日本という国号は7世紀ごろ)にやってきた、中国にルーツを持つか、中国技術・文化に精通した朝鮮半島の人々が渡来人で、渡来の意味は「やってくる」。
「帰化」というのは、周辺国家の人々が本朝の徳を慕って集まってきたというニュアンスで、当時のアジアにおいて圧倒的な存在だった中国人の、都会人のプライド(中華=世界の中心で華やか)から出る概念で、周辺も周辺の古代日本が中華思想を拗らせて帰化とか言い出したんだなあと思えば生暖かく見守りたくなる。