株式会社タフス

歴史的瞬間をこの目で

サウジカップ凄かったんですよ。
何が凄かったって、バケモンとバケモンの大怪獣バトルでございます。

その1人ロマンチックウォリアーは去年の安田記念で来日し見事勝利を飾った香港の大英雄といえる競走馬です。
それまでにも数々の日本の馬たちを倒し、いろんな国でG1を勝利した実績を持っています。

対するは、今現在日本ダート界を背負って走るフォーエバーヤング。
去年はサウジダービー(G3)やUAEダービー(G2)を勝ち、アメリカのケンタッキーダービへ挑戦して3位でした。
その後も、日本の同世代へジャパンダートクラシックで圧倒的差を見せつけ、アメリカダート最強を決めるBCクラシックでは3着でしたが帰国後に国内の古馬と初対戦となった東京大賞典でもその強さを見せつけていました。

そしてこの2頭が世界最高峰の賞金がもらえるサウジカップで激突したわけです。
ロマンチックウォリアーは芝を走っていたので初のダートという不安や調教で少しうまくいかないアクシデントなどがありましたが、レースでは恐ろしいまでの強さを見せこの馬がやはりとんでもない馬だという事は誰の目にも明らかでした。

それを我々が目撃したのは4コーナーからでした。
とてつもない勢いで外から加速したロマンチックウォリアーは、そのまま後続を突き放していきます。
フォーエバーヤングも追いかけますが離されれます。

しかし、私はここからだと思っていました。
4コーナー、フォーエバーヤングも手ごたえはしっかりとあったと私はみていました。
いつもであればそこからロマンチックウォリアーのように突き抜けるのですが、フォーエバーヤングの手綱を握る坂井騎手はまだ手を動かしていなかったのです。

そう、勝負所でまだフォーエバーヤングに『行くぞ』と合図を送っていなかったのです。
ロマンチックウォリアーは素晴らしい馬です。
追いすがられればさらに突き放す根性を持っています。

ですから、勝ったと思わせてそのすきを突くしかないと思っていました。
勝負あったかと思われる距離が付いたとき、坂井騎手はフォーエバーヤングを外に出し、ロマンチックウォリアーから離れてからフォーエバーヤングを加速させました。
ロマンチックウォリアーの意識の外から勝負を仕掛けたのです。

届くのか届かないのかそれはその時点では競馬の神様だけが知っている結果でした。
追い詰めるフォーエバーヤング、粘りこむロマンチックウォリアー、近づいてくるゴール。
決着は首差、届いたのは我らがフォーエバーヤング。

2着ロマンチックウォリアーと3着との差は10馬身と1/2。
最後の直線がどれほどのマッチレースだったかこれだけでも伝わる部分があると思います。
歴史に残るべきレースでした。

このレースに置いて勝者は1頭フォーエバーヤングだけです。
しかし、しかしながら、フォーエバーヤング以外は負けたのでしょうか。
着順という意味ではそうなのでしょう、しかしこのレースをその目で見た人間がそれを敗北と呼ぶことはありません。

このレースを走り切った彼らすべてが戦い抜いた称えられるべき戦士でありまごう事なき英雄なのです。
この様なレースに出会いたくて私は競馬をやっています。
この様なつたない文章ではありますが、もし興味を思っていただいたらあなたもレースを見に行ってみてください。

もしその時は競馬場でお会いしましょう。