書評「公家源氏」その2
以下の書籍に関する書評となります。
公家源氏 ――王権を支えた名族 (中公新書) 倉本一宏 (著)
ミウチ関係
天皇の子息息女の内、母親の身分が高いものは親王・内親王宣下(元々は一世は親王/内親王、二世以下は王/女王だったが、平安初期より宣下を受けたものが親王/内親王)され、そうでないものは源氏や平氏として臣籍降下することが一般化した。
臣籍降下した源氏は、親である天皇のミウチであることを権威の源泉として、今で言う内閣に相当する太政官の顕職を占めていたが、天皇が変わる度にその子孫の源氏が大量発生して飽和状態&世代を経る度に、現天皇とはミウチと呼べないぐらい遠い血縁、という条件が重なり、没落していく。
村上源氏
そんな中で、平安後期に発生して江戸時代まで家名を保った源氏の一つに村上源氏がある。久我家、中院家、岩倉家、佐々木氏、六角氏、京極氏などの祖であり、10世紀に活動した村上天皇の子から始まり、幕末まで嫡流庶流を含めいくつも貴族として存続した公家源氏のトップランナーである。
村上源氏が幕末まで生き残ったメカニズムは・・・本書で確認してほしい。
教科書では省略されがちな公家源氏を概観できる良書です。