書評「公家源氏」その1
以下の書籍に関する書評となります。
公家源氏 ――王権を支えた名族 (中公新書) 倉本一宏 (著)
源氏といえば
想像するのは源頼朝/義経や、足利尊氏といった武士・・・歴史用語に詳しい人なら清和源氏といわれる一族・・・のことを思い浮かべる方が多いのではないか。
一方で、現在大河ドラマで題材となっている紫式部が書いた『源氏物語』に出てくる光源氏(複数のモデルからなる架空の人物)は、武張ったところは一切無いガチ貴族(公家)となっている。
今回紹介する書籍は後者の、意外と知られていない公家源氏を概観する内容となっている。
高校で日本史を選択した方(オジさんのDK時代は、世界史or日本史が必修でした)ならば、応天門の変の登場人物である源信や、安和の変の登場人物である源高明はうっすらと覚えているかもしれない。
また、幕末のレジェンドである岩倉具視が出た岩倉家(具視は養子だけど)は、村上源氏久我家の庶流となっている。これらは全部公家源氏である。
源氏以前にそもそも、天皇の子や孫などの皇族が姓を与えらえれて臣下の席に降りることを臣籍降下といい、古代から奈良時代にかけて複数の例がある。理由としては、皇族が増えすぎて国家財政を圧迫(まさにロイヤルニート)したためとか、国家権力中枢を天皇の身内から臣籍降下した貴族で固めるため等諸説ある。
平安京に遷都した、で有名な桓武天皇(彼の子孫からも平清盛らが出た桓武平氏が産まれている)の二代後の嵯峨天皇のとき、子の男女8人が源氏姓を与えられて臣籍降下したのが源氏の始まりとなる。以降、平安~鎌倉時代にかけて(マニアックなのは江戸時代の正親町源氏)源氏二十一流・・・○○天皇の子孫が源氏に臣籍降下 が21天皇分・・・発生することになる。