初心
「初心忘るべからず」
誰しもが聞いたことのある、この言葉。
調べたら、能を大成させた世阿弥が残した書に度々登場していた言葉だそうです。
色々と勉強になったので、少し紹介したいと思います。
「初心忘るべからず」
は、「初めの頃の新鮮な気持ちや意欲を忘れてはいけない」
という意味で広く使われていますが、
(わたしもご多分に漏れずそういう意味だと思い込んでいました。)
世阿弥が言ったそれのニュアンスはちょっと違っているみたいです。
実際は、
「初心」は若い頃の未熟な芸や、年齢ごとの芸の初めての境地を指しており、芸の向上をはかるものさしとしてこの初心を忘れてはいけない ※1
ということを述べているようです。
世阿弥はこれを3つに分けていて、
「是非初心忘るべからず」
… 若い頃の未熟な芸を忘れなければ、そこから向上した今の芸も正しく認識できる ※2
「時々の初心忘るべからず」
… 年盛りから老後に至るまでの各段階で年相応の芸を学んだ、それぞれの初めての境地を覚えていることにより、幅広い芸が可能になる ※3
「老後の初心忘るべからず」
… 老後にさえふさわしい芸を学ぶ初心があり、それを忘れずに限りない芸の向上を目指す ※4
と説いています。
私も今年から新たな業務についていますが、
私自身これまで経験し身につけてきた、
「時々の初心忘るべからず」
を持って臨めているだろうか、と考えてしまいました。
エンジニアに置き換えた場合、
これから先次から次へどんどん新しい技術が生まれてきて、
その度にその技術を学んでいかないといけないですが、
この「初心忘るべからず」の精神で歩んで行けたらと思います。
あら。なんか久しぶりに真面目に書いてしまった。
おまけ
もう一つ、胸に響いた言葉
「住する所なきを、まず花と知るべし」
引用
※1※2※3※4
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