共通テーマ【活躍】
rainstyleさん
その青色がとても素敵な自転車ですね。私は自宅の雨ざらしで錆びた自転車の処分のタイミングに悩んでおります。
さて、話は変わって。
深川の住人として楽しみなのが深川祭(毎年8月15日に開催される江戸三大祭の
一つ)で、今年はその三年に一度の本祭りの年なのであるが、他の行事と同じく、
今年は中止とのこと。手古舞の一隊に加えて貰うはずだったのに。
東日本大震災による自粛ムードへの反論は置いておくとして、ここ深川で江戸時
代に【活躍】した辰巳芸者に思いを馳せてみようと思う。
辰巳芸者といえば、長羽織に男物の着物、素足に下駄、が代表的コーディネート
で、加えて意気と侠気の気風が看板だったようだ。ちょっと男装の麗人のイメー
ジがして、私は少女時代にそんな年上の女性に焦がれたことがあったから、当時
辰巳芸者に憧れる若い女の子もいたのでは、なんて推測してみたり。
為永春水作『春色梅児誉美』の中の辰巳芸者 米八は、こんな「粋」な出で立ち
で登場する。
「上田太織の鼠の棒縞、黒の小柳に紫の、やままゆじまの縮緬を鯨帯とし下着は
お納戸の中型縮れめん、おこそ頭巾を手に持て、みだれし鬢の島田髷」(為永春
水『春色梅児誉美』より)
さて米八がどちらへお出かけかというと、恋人 丹次郎の隠れ家まで。久々の再
開を果たした二人は、泣いたり笑ったりしては痴話喧嘩して、を繰り返す。丹次
郎は、坊ちゃん育ちで、既に お蝶という許婚がありながら、甲斐性なしの色男。
心底、丹次郎に惚れて愛している米八は、恋仇と取っ組み合いの喧嘩までして、
芸者稼業で稼いで貢いで、丹次郎を一人前にしてやっている。
気立ても「粋」な米八姐さん。
現代でもよく耳にする「粋」っていう言葉。実際問題その域に達するのは、とて
も大変なことなんだと思う。「粋」って色気があってかっこいいけれど、本当は寂しくて切ないもの。でも、それに負けない強さがなければ、「粋」な生き方は到底できるものではない。その心持が辰巳芸者たちの衣装に現れているように思う。
運命によって「諦め」を得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」
である。(九鬼周造『「いき」の構造』より)