株式会社タフス

今夜はパソコン屋さん♪

珍しく実家から荷物が届いた。
4、5日前から不在伝票が投げ込まれていることは知っていたが、
配達希望時間にずっと家にいるなんて、一人暮らしで仕事を持つ身としては
なかなかできるはずもなく、夜間配達の申し込みを毎日繰り返した挙句、
やっと受け取ることができた。
宅配便のお兄さん、ほんとにごめんなさい。

中身はやや古めのノートPCだった。叔父のパソコンらしく、
壊れたので直してやってほしいとの母からの手紙と、
「おばあちゃんからのお小遣い」と書かれた現金入りの封筒が入っていた。

早速電源を入れたがそもそもWindowsが起動しない。
セーフモードでの起動を試みたり、CHECKDISKを実行したり、
起動ディスクを作ったりと素人の試行錯誤が2日で計6時間。
ようやく通常起動にまでたどり着いた。

そしてまもなく恐ろしい事実が判明・・・ウイルスにやられているのだ。
入っていたウイルス対策ソフトの更新期限は2002年で切れていた。
聞くとインターネットにつないでないから、
特に更新しなくても大丈夫だろうと考えていたらしい。
しかしインターネットにはつなげていなくても
職場のLANにはつなげて使っているらしく、
どうやらファイルサーバーからウイルスに感染したファイルを
拾ってしまったようであった。

ここでひとつ問題がある。

叔父の職業は、県立高校教諭。
職場は当然のごとく が っ こ う だ。

マイドキュメントに入っているファイルのタイトルもよく見ると
「成○表」だの「進○相談」だの「住○録」だの
クチにするのも恐ろしい名前のエクセルファイルばかりだった。
しかも年度ごとに丁寧にフォルダ分けされ、実に6年分。
試しにひとつ開いてみたがもちろんパスワード設定などされてはいなかった。

おっちゃんマジでやばいよ。もし漏れたら全国ニュースになるよ。
と電話で忠告したが、どうやら叔父の耳に届かない。
「イナカの高校だからまだその辺いいかげんで」
「生徒がLANにつなぐわけじゃないから」
いやいや、そーいう問題じゃないでしょうが。。
と、反論していて叔父の姿勢から気づいてしまった。。

彼らの解釈からすれば、
目線がひとつ下の生徒の個人情報は電話帳みたいなもので、
少なくとも顧客情報ではない。
もし何かあっても外にばれない限りは不利益を被らないのだ。

さらにマイミュージックの中にはCDから写したと思われる
おびただしい数の音楽ファイルが確認できた。
つまりこのPCは私物で、自宅マシンを兼ねているということだ。

叔父は自宅ではインターネット回線を引いていないが、
仮に引いている先生がいたらどういうことになるのだろう。
その先生がたまたまファイル共有ソフトとやらに興味を示していたら
どうなるのだろう。
学校と自宅の往復の間に何かあったらどうするのだろう。

もしかしたら自分が気にしすぎなのかもしれないし、
文化のギャップなだけなのかもしれないが、
それでもなお、彼らの情報リテラシーレベルは低いといわざるをえない。
しかも自分達ですらできていないのに、
それを正式科目として生徒に教えているのは、
最早ギャグとしかいいようがない。

結局、ファイルを整理したり、セキュリティーパッチを当てて
新しくウイルス対策ソフトをインストールするだけで、
さらにもう2晩6時間を要してしまった。
数日後、叔父からお礼の電話があった。
「ありがと。さすがパソコン屋!」

だからパソ屋じゃないって…
と何度説明しても理解してもらえないので最近はあきらめモード(-_-)

なお、頂いた「おばあちゃんからのお小遣い」は5000円札3枚だった。
おばあちゃんの気持ちはお金には代えられないが、
素人のパソコン屋さんとしての技術手数料と考えると、
まあまあ妥当な金額だろうか。

しかし3枚全てが聖徳太子でしかも折り目のない新札なのには参った。
タンス預金恐るべしと感心しながら、
果たしてこれをどうしたものかと夜な夜な悩んでいる。